東欧文学

「ルール」と「練習」の効用 アゴタ・クリストフ『悪童日記』

悪童日記 (ハヤカワepi文庫) 作者:アゴタ クリストフ 早川書房 Amazon 体験をどのように語るか。それは現実に対する自分の立ち位置を決めることにほかならない。アゴタ・クリストフの『悪童日記』はこの点について、戦略的でありながら、同時に誠実でもある…

ルツィエの沈黙 ミラン・クンデラ『冗談』

冗談 (岩波文庫)作者:ミラン・クンデラ岩波書店Amazon みすず書房版の『冗談』には、丁寧にも「著者まえがき」「著者あとがき」が付いていて、クンデラ自身がこの小説をどう読んでほしいか解説を書いている(「肉体と精神の乖離をめぐる悲しいラブストーリー…

未知のものを描くとは その1 スタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』

ソラリス (ハヤカワ文庫SF)作者:スタニスワフ・レム早川書房Amazon タルコフスキーの名作映画『惑星ソラリス』の原作で、ポーランドのSF作家スタニスワフ・レムの代表作。いわゆるファーストコンタクトものだが、未知のものを描くのは難しいということがよ…