2020-01-01から1年間の記事一覧
アンダスン短編集 (新潮文庫 ア 4-2) 作者:アンダスン メディア: 文庫 代表作『ワインズバーグ・オハイオ』で知られるシャーウッド・アンダーソン(アンダスン)の10短篇を収録した新潮文庫の短編集。作家的想像力という言い方をすることがあるが、その方向…
お伽草紙 (新潮文庫) 作者:治, 太宰 メディア: 文庫 恥ずかしいという感情が太宰治の基調を成している。生きること、存在することそのものが恥ずかしい。その恥ずかしさをキャラ化したような『人間失格』などの作品が書かれる一方で、『お伽草紙』をはじめと…
転生! 太宰治 転生して、すみません (星海社FICTIONS) 作者:佐藤 友哉 発売日: 2018/09/16 メディア: 単行本(ソフトカバー) 1948年、愛人とともに玉川上水に入水したはずの太宰治がなぜか2017年の現代に転生し、数々の騒動を巻き起こすという奇想天外なお…
焼跡のイエス/処女懐胎 (新潮文庫 い 3-1) 作者:石川 淳 メディア: 文庫 アンソロジーの楽しみの一つは、未読の作家と出会うことだ。澁澤龍彦編『暗黒のメルヘン』で初めて石川淳の短篇「山桜」を読んだ。それがきっかけで新潮文庫の短編集を読んでみたが、…
星の子 (朝日文庫) 作者:今村夏子 発売日: 2019/12/06 メディア: 文庫 (ネタバレ)今村夏子の小説を読むということは、不安と向き合うことである。朝日文庫版『星の子』に収録されている小川洋子×今村夏子の巻末対談「書くことがない、けれど書く」の中で、…
猫を棄てる 父親について語るとき (文春e-book) 作者:村上 春樹 発売日: 2020/04/23 メディア: Kindle版 このエッセイを初めて読んだのは、『文藝春秋』(2019年6月号)に掲載されたときだ。村上春樹が父親の記憶や戦争体験などを息子の立場から語る率直な文…
ペスト (新潮文庫) 作者:カミュ 発売日: 1969/10/30 メディア: ペーパーバック 新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年4月8日緊急事態宣言が発令された。当初5月6日までとされた期間は、1か月程度延長されることが確実な情勢だ。安倍政権は国民に対して…
うどん キツネつきの (創元SF文庫) 作者:高山 羽根子 発売日: 2016/11/19 メディア: 文庫 高山羽根子の名は2019年に「居た場所」と「カム・ギャザー・ラウンド・ピープル」が芥川賞候補になったことで知った。調べてみると、『うどん キツネつきの』という短…
カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫) 作者:アンソニー・ホロヴィッツ 発売日: 2018/09/28 メディア: 文庫 ※以下、犯人は明かしませんが、『カササギ殺人事件』の小説構成上、未読の方は知らないほうがいい内容を含みます。ご注意ください。 夢中で読んだ…
カメリ (河出文庫) 作者:北野勇作 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2019/03/29 メディア: Kindle版 少し遠回りする。『カメリ』を読んでいて思い出したのは、内田百閒の「房総鼻眼鏡」(『第三阿房列車』)の一節だ。 「大きな浪が後から後から打ち寄…
密やかな結晶 (講談社文庫) 作者:小川 洋子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1999/08/10 メディア: 文庫 リボン、鈴、エメラルド、切手…。『密やかな結晶』は、身の回りのものが一つ、また一つと消滅していく不思議な島に暮らす人々の詩情とサスペンスにあ…
モーパッサン短編集(一) (新潮文庫) 作者:モーパッサン 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1971/01/19 メディア: 文庫 訳者・青柳瑞穂の「あとがき」によれば、1850年に生まれ、1893年に亡くなったモーパッサンの文学活動は30歳から40歳までのたった10年間…
裏ヴァージョン (文春文庫) 作者:松浦 理英子 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2007/11/09 メディア: 文庫 (ネタバレ) ホラーまがいの小説にアメリカを舞台にしたレズビアンの三角関係を描いた小説、さらには、人のいい初老の婦人が「全米マゾヒスト地…