2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「お話して!」 スティーブンソン『宝島』

宝島 (新潮文庫)作者:スティーヴンソン,直次郎, 佐々木,秀夫, 稲沢,Robert Louis Stevenson新潮社Amazon 本の最初のページを開き、読み始めるときのわくわく。それはきっと大人に「なにか、お話して!」とせがみ、いよいよ始まるというあのわくわくと同じだ…

「わたしは…」 吉田知子『箱の夫』

箱の夫作者:吉田 知子中央公論社Amazon 表題作「箱の夫」を含む8篇が収録された短編集。「箱の夫」は、サルぐらいの大きさしかない夫との結婚生活を妻の視点から描いた話。夫がクラシックのコンサートに誘ってくれたので、夫を箱に入れて出かける。一見、乱…

からまるロープ 福永信『コップとコッペパンとペン』

コップとコッペパンとペン作者:福永 信河出書房新社Amazon「いい湯だが電線は窓の外に延び、別の家に入り込み、そこにもまた、紙とペンとコップがある。この際どこも同じと言いたい」 福永信の『コップとコッペパンとペン』は、こんな言葉から始まる。「1行…

カルヴィーノの古典案内、あるいはhide-behind イタロ・カルヴィーノ『なぜ古典を読むのか』

なぜ古典を読むのか (河出文庫)作者:イタロ・カルヴィーノ河出書房新社Amazon「1 古典とは、ふつう、人がそれについて、『いま、読み返しているのですが』とはいっても、『いま、読んでいるところです』とはあまりいわない本である」 カルヴィーノは本書『な…