2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

変わるものと変わらないもの 江國香織『間宮兄弟』

間宮兄弟 (小学館文庫)作者:江國 香織小学館Amazon「恰好わるい、気持ち悪い、おたくっぽい、むさくるしい、だいたい兄弟二人で住んでいるのが変、スーパーで夕方の五十円引きを待ち構えて買いそう、そもそも範疇外、ありえない、いい人かもしれないけれど、…

流れ出す水 藤野千夜『主婦と恋愛』

主婦と恋愛 (小学館文庫)作者:藤野 千夜小学館Amazon 主婦のチエミは結婚4年目の31歳。夫の忠彦は6つ年上の高校教師。子供なし。平凡な結婚生活に変化をもたらしたのは2002年の日韓共催のサッカーW杯。その夏、チエミはサッカー観戦をきっかけに、つぎつぎに…

おじさんの語り 松山巌『くるーりくるくる』

くるーりくるくる作者:松山 巌幻戯書房Amazon 結婚式とか葬式とか法事とか、たまに親戚が一堂に会する機会にしか見かけないおじさん。調子がよくて、おしゃべりがうまく、みんなを笑わせるのが得意な人。そのくせ、一人でいるときは妙にさびしげで陰がある。…

善意のリレー 有川浩『阪急電車』

阪急電車 (幻冬舎文庫)作者:有川 浩幻冬舎Amazon 阪急電車の今津線って、みなさん、知ってました? 宝塚から西宮北口を経由して、阪神電車に乗り換えができる今津駅までの短い路線なんだそうです。 本書『阪急電車』は今津線の各駅を章のタイトルにして、い…

この世はあの世 藤枝静男『田紳有楽・空気頭』

田紳有楽・空気頭 (講談社文芸文庫)作者:藤枝 静男講談社Amazon 内田百閒は、人間が世界一周できるようになって、ぐるりと一周し元の場所に戻ってくることができると考えるのは、なんというつまらないことだろうという意味のことを日記に書いています。 世の…

どこかにいるわたし 長嶋有『タンノイのエジンバラ』

タンノイのエジンバラ (文春文庫 な 47-2)作者:長嶋 有文藝春秋Amazon 古びた団地に住む失業中の30代の男が、隣の小学2年生の女の子を母親に頼み込まれて一晩預かるはめになる。 『ペーパームーン』『都会のアリス』など、中年男×少女という組み合わせは、類…

話芸としてのイケズ 入江敦彦『イケズの構造』

イケズの構造 (新潮文庫)作者:敦彦, 入江新潮社Amazon いけずな人やとかいけず言わんといてとか、関西では普通に使われてる言葉なんですかね。辞書には「意地悪」と出てます。 しかし、入江敦彦はイケズとは意地悪とも、陰険とも、皮肉とも、嫌味とも、毒舌…

ベッドで語る マーク・ストランド『犬の人生』

犬の人生 (中公文庫)作者:マーク ストランド中央公論新社Amazon ベッドでとなりに寝ている夫が「ぼく、実は以前犬だったんだよ」なんて言ったとしたら、妻はどんな反応をするだろう。ふつうはなんとなく冗談だと思うんだろうな。夫は妻の表情をうかがいなが…

青春というファンタジー 森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)作者:森見 登美彦KADOKAWAAmazon「黒髪の乙女」。心は清く見目麗しい京大1回生に「先輩」は一目惚れ。 さあ、よってらっしゃい。見てらっしゃい。 ウワバミ女に自称天狗男、スケベおやじに三階建て電車を乗り回す高利貸し 世に…

SF小説? 柴崎友香『その街の今は』

その街の今は (新潮文庫)作者:友香, 柴崎新潮社Amazon 心斎橋そごうが不況で閉店して、その後新装オープンしたけど、結局またつぶれて、大丸の別館として再オープンした。『その街の今は』はちょうどそごうが新装オープンした2003年頃の心斎橋界隈の話。 カ…

旅の気分 アントニオ・タブッキ『インド夜想曲』

インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)作者:アントニオ タブッキ白水社Amazon インドで行方不明になった友人を探すためにボンベイ、マドラス、ゴアという3都市をめぐる「僕」の物語。 実在するホテル、鉄道・バス路線、団体などが登場し、風変わりな…

読書ブログ始めます

こんにちは。 とらおと申します。 このたび読書ブログ始めることにしました。 紹介する本は、おもに小説です。 読んだ本の感想を気軽に書いていこうと思っています。 興味を持ってくれる人がいれば、うれしいです。 よろしくお願いします。