ベッドで語る マーク・ストランド『犬の人生』

 ベッドでとなりに寝ている夫が「ぼく、実は以前犬だったんだよ」なんて言ったとしたら、妻はどんな反応をするだろう。ふつうはなんとなく冗談だと思うんだろうな。夫は妻の表情をうかがいながら、「かつて犬だった自分」について語り出します。
 メランコリーとエロティシズム。短編集『犬の人生』の印象を一言でいうなら、こんな感じ。「短編集」というより「散文詩」といった印象のものが多いんですが。
 お互いにどこへも行きつかないとわかってる「犬の人生」についてベッドで語るってなんかいいですね。大人の怠惰って感じで。
 目立たない小料理屋で味わうちょっと変わった一品? 表紙のイラストがかわいかったのでジャケ買い