2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

19世紀娯楽小説のすごみ ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』

デイヴィッド・コパフィールド(1) (新潮文庫)作者:チャールズ ディケンズ新潮社Amazon『ライ麦畑でつかまえて』の冒頭、ホールデンは自分の幼少期はどうだったとか、自分が生まれる前、両親は何をしていたかとか、そんなデイヴィッド・コパフィールドみた…

さよならを言うのは難しい レイモンド・チャンドラー『長いお別れ(ロング・グッドバイ)』

長いお別れ ハヤカワ・ミステリ文庫 HM 7作者:レイモンド・ チャンドラー,清水 俊二早川書房Amazon「おれたちにはパリがある」 映画『カサブランカ』のハンフリー・ボガードのセリフだ。抵抗運動の指導者である男は、ナチの手を逃れ、仏領モロッコにやって来…

迂回の果てに カズオ・イシグロ『充たされざる者』

充たされざる者 (ハヤカワepi文庫)作者:カズオ イシグロ早川書房Amazon カズオ・イシグロといえば、各国でベストセラーになった『わたしを離さないで』を思い出す人も多いだろう。あるいは、ブッカー賞受賞作『日の名残り』。ぼくは本書『充たされざる者』以…

書物と世界の関係 その2 スティーヴ・エリクソン『黒い時計の旅』

黒い時計の旅 (白水uブックス)作者:スティーヴ エリクソン白水社Amazon 柴田元幸印とでもいうか、柴田さんが訳してるんだから間違いないだろうと思って本を手に取ることがある。ポール・オースターとか、スティーヴン・ミルハウザーなんかがそうだった。ステ…