フランス文学
嘔吐 作者:J.P.サルトル 人文書院 Amazon 『嘔吐』は1938年、サルトルが33歳のとき、刊行された。刊行時期は第二次世界大戦の開戦前年だった。戦後、サルトルが文学のアンガージュマン(社会参加)を唱える前のことであり、本書に関する作者の態度も変化した…
ペスト (新潮文庫) 作者:カミュ 発売日: 1969/10/30 メディア: ペーパーバック 新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年4月8日緊急事態宣言が発令された。当初5月6日までとされた期間は、1か月程度延長されることが確実な情勢だ。安倍政権は国民に対して…
モーパッサン短編集(一) (新潮文庫) 作者:モーパッサン 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1971/01/19 メディア: 文庫 訳者・青柳瑞穂の「あとがき」によれば、1850年に生まれ、1893年に亡くなったモーパッサンの文学活動は30歳から40歳までのたった10年間…
青い麦 (新潮文庫) 作者: コレット,堀口大学 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1967/06 メディア: 文庫 クリック: 8回 この商品を含むブログ (14件) を見る まず、エリック・ロメールの映画を思い浮かべてほしい。『緑の光線』でも『海辺のポーリーヌ』でも…
シルトの岸辺 (岩波文庫) 作者: ジュリアン・グラック,安藤元雄 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2014/02/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (4件) を見る 唐突にあなたはこれこれの星回りの下に生まれたんですよとか、あなたの人生の行く手には避…
十五少年漂流記 (新潮文庫)作者:ジュール・ヴェルヌ新潮社Amazon『海底二万里』『八十日間世界一周』などで知られ、H・G・ウェルズとともにSF小説の祖とも呼ばれるジュール・ヴェルヌの少年小説。十五人の少年だけが乗った帆船スルギ号が悪天候により難破し…
逃げる作者:J・P・トゥーサン集英社Amazon『浴室』のはなばなしい登場以来、ずっとジャン=フィリップ・トゥーサンを愛読してきた読者として、『逃げる』はトゥーサンの集大成であり、同時に終着点であると強く感じた。 前作『愛し合う』の続編として書かれ…
泥棒日記 (新潮文庫)作者:ジャン ジュネ新潮社Amazon「裏切りと、盗みと、同性愛が、この本の本質的な主題である」というジャン・ジュネは、本書『泥棒日記』において、「あなた方」とか「あなた方の世界」という表現をくりかえし、自分が生きてきた世界と自…
ゴリオ爺さん (新潮文庫)作者:バルザック新潮社Amazon「このわしの命は、ふたりの娘のうちにありますんじゃ。あの子たちが楽しい思いをし、幸せで、きれいな格好をしていれば、絨毯の上を歩くことができれば、わしがどんな服を着ていようと、どんなところで…
パルムの僧院 上 (岩波文庫)作者:スタンダール岩波書店Amazon『限りなく透明に近いブルー』の主人公リュウの女友達リリーが『パルムの僧院』を読んでいた。ドラッグに溺れ、荒廃した若者の日常を描く『限りなく透明に近いブルー』の世界と対照的な静かな僧院…
エトルリヤの壺 他五篇 (岩波文庫 赤 534-1)作者:メリメ岩波書店Amazon 神話や昔話を読んでいて感じる違和感のひとつは、手加減のなさである。主人公に襲い掛かる過酷な運命、容赦なしの、無差別の暴力にさらされる姿は、圧倒的な自然の前にして無力な人間の…
狭き門 (新潮文庫)作者:ジッド新潮社Amazon 好きなものを好きと言い、嫌いなものを嫌いと言う。あたりまえのことみたいだけど、そうでもない。いちばんほしいものを目の前にして、それがほしいということができない人って、けっこういるんじゃないかと思う。…
黄色い部屋の謎 (創元推理文庫)作者:ガストン ルルー東京創元社Amazon どういうわけかときどき推理小説を読みたくなる。「密室」とか「意外な犯人」とか「犯人はこの中にいる」みたいな決まり文句の世界。『黄色い部屋の謎』はそんな要素の詰まった推理小説…
法王庁の抜け穴 (1970年) (岩波文庫)作者:アンドレ・ジイドAmazon ローマ法王が実はにせもの!? 聖職者になりすました天才詐欺師プロトスが、ある秘密結社によって法王庁の地下室に幽閉された本物の法王を救い出すなどと奇想天外なうそをでっち上げたことから…
心変わり (岩波文庫)作者:ミシェル・ビュトール岩波書店Amazon パリ発ローマ行の汽車に乗り込む「きみ」は、重大な決意を胸に秘めていた。パリの妻子を捨て、ローマの愛人とパリで同棲を始めること。「きみ」はまだ45歳。新しい人生を始めるには、まだ十分に…