二次元の嫁? ホフマン『黄金の壺』

 何をやってもダメな大学生アンゼルムスが黄金に輝くかわいい小蛇(!)にひとめぼれ。「(…)愛らしい金の蛇たち、どうかもう一度あの鈴のような声を聞かせておくれ! もう一度だけぼくに目をむけてくれ、きみたちの魅惑的な青いひとみよ、一度でいいから、おねがいだ。そうでないと、ぼくは苦しくて苦しくて、はげしいあこがれのために死んでしまうよ!」
 教頭の16歳になる娘(こちらは人間)に恋心を抱かれていても、蛇のほうがいいというのだから、気が変になったと思われてもしかたないかも。
このファンタジー、副題に「近代のおとぎ話」とあるのがみそ。一方に火の精や魔法使いの世界があり、他方に超常現象など一切信じない合理主義者ハウプトマン教頭に代表される世界がある。こっちの世界で何やってもドジばかり踏んでいる男だからこそ、むこうの世界でありえない美男子のようにみえたりするのかなあ。のび太が映画のときだけ大活躍しちゃうみたいな。後半に迫力あるバトルに意外な結末。これ、今でいうと二次元の嫁?